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有限会社 昭和水産
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□ 魚介類の自給率と“食糧安保問題”
皆様は、我が国における魚介類の自給率が一体どのくらいかご存知でしょうか。平成17年度「水産白書」によれば、平成16年度の自給率は前年より2ポイント低下して、55%となっています。同白書によれば、自給率のピークは昭和39年で、実に113%でした。その後経済成長とともに、輸入量が国内生産量を大幅に上回り、40年を経た今日、自給率は半減し上記の数値(55%)となっています。
自給率低下の一つの要因として、戦後から今日にいたる国民の食生活の劇的な変化があります。食料支出額に占める品目・形態別の割合推移をみると、水産物に限らず生鮮3品は軒並み減少傾向で、急激な増加傾向にあるのが「外食」及び「調理食品」です。こうした食生活の変化を受けて、平成14年に策定された水産基本計画では、自給率の大幅な見直し(平成24年の目標数値:66%)が水産行政の大方針として掲げられています。また平成17年施行の「食育基本法」では、“食育を知育、徳育の基礎”と位置づけ、健全な食生活を実践できる教育を国の施策として推進することとなりました。
これらの施策に基づき、最近は全国規模で“地産地消”や生産者との交流が奨励されるなど、政府による“食の啓蒙活動”が盛んに行われています。これらの政策が自給率向上、ひいては農業、漁業の競争力強化に寄与するか否かは現時点では分かりません。しかし実は今、私たちの食生活に関連して、もう一つの大きな問題が取りざたされています。それが世界的な“魚食ブーム”の到来による水産資源の争奪戦、“食糧安保問題”です。
□ 中国経済成長のもたらすインパクト
これまで我が国では、大手量販店の伸長とともに、規格化された比較的安価な水産加工品が大量に輸入されてきました。年々、対面販売の魚屋が廃れ、スーパーやコンビニでの消費が主流となり、安心・安全と引き換えに、輸入冷凍水産品が市場を席巻する現象が起きているのはご承知のとおりです。しかし、昨今のBSE問題や中国の急速な経済成長、国際的な漁業規制の強化、燃料費の高騰など様々な要因により、水産資源の需給バランスが崩れ、国際間において“資源の争奪戦”が起こりつつあります。
この資源争奪戦において、最もインパクトのある要因が“中国の高度経済成長”です。中国における北京、上海などの都市沿岸部と内陸農村部の生活水準の格差は周知のとおりです。当面、我が国の食生活に影響を与えそうなのが、総人口(13億?)の約3割といわれる沿岸部の富裕層の胃袋です。中国都市部において、中進国並みの所得と購買力を持つ世帯人口は、既に3000万〜5000万人に達しているとの報告もあります(「日経ビジネス」2006.1.30)。仮に2008年に開催される北京五輪後も今の成長率を維持するなら、近い将来、霜降り肉やマグロなど、高価な食材にも惜しみなくお金を払える富裕層が、億単位で増えることになるわけです。もともと「空飛ぶものは飛行機以外、4つ足のものは机以外全てを食す」といわれる大食文化をもつ国だけに、今後の中国国内の食糧消費が世界の食糧需給に大きな影響を与えるのは必至といえます。
□ 今こそ“魚食”文化を見直そう
実は中国の食糧消費による、需給バランス変化の兆候はすでに現れています。これまで日本の大手量販店は、商社を通じて中国その他で生産された冷凍水産品を大量に買い付けてきました。しかし近年、中国での需要拡大と世界的な魚食ブームの影響で、相場において日本が買い負ける現象が顕著になりつつあります。これまで、日本向けの安価な水産品の加工は、輸出国にとって一大ビジネスとなっていたわけですが、最近は中国をはじめとした大消費国との間で、購入における“競争関係”が生まれ、上述の“水産資源の争奪戦”の様相を呈しているわけです。
例えば“ノルウェー産”で有名なサバを例にとると、日本は10万トンのサバを輸入しつつ、2.6万トンのサバを輸出しているという現象があります。つまり日本人に好まれる、脂の乗った大きなサイズのサバを輸入して、国内では見向きもされない小さなサバを海外へ輸出しているのです。高級サバが1kあたり2500円を超えるのに対して、輸出用サバは1kわずか65円。最貧のアフリカですら日本の1.5倍の値付けをしているとのことです(「週刊ダイヤモンド」2006.8.5)。この現象こそ、食に対する日本人の危機意識のなさの表れといえます。
安価な水産物はいつでも手に入った時代は、もはや過去のものとなりました。札束で食料が買えるのは日本だけではなくなったのです。近い将来、“お金があっても食料がない”という時代すら来ないとも限りません。我が国としては、あらゆる施策を講じて先進国としての健全な食料自給率を確保することが急務の課題です。同時に、商売上安易な海外の水産加工品を信奉する食品メーカーや大手量販店の経営体質、そして、それらを好んで購入する私たち消費者の意識も早急に改めるべきではないでしょうか。その第一段階として、日常生活での飽食を反省するとともに、国内の近海鮮魚にもっと目を向けるべきだと考えます。国内水産物を自国で消費することこそが、日本古来の魚食文化を維持し、同時に生産者である漁業者の競争力を高め、国の自給率向上に寄与することができるのですから。
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