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2009年12月21日
[Ⅵ 魚食・流通の話]マグロと思いきや!?
昼は晴れ間も見えますが、引き続き低い気温が続いています。水エソ中心の漁が続いていますが、現在のところ漁模様は今一つのようです。昨日の取引では、水エソに昨年のピーク時を上回る価格がつきました。魚市場内には雪やあられも舞い込んで、久しぶりに最盛期らしい雰囲気のセリとなりました。
水エソは底曳き網で漁獲される最高級の蒲鉾原料ですが、魚体が25cm程度と小さく、加工に手間とコストがかかるため、最近は魚体の大きいヒレナガや石エソがより好まれるようです。蒲鉾メーカーの方もよく言われますが、板付きの紅白蒲鉾が飛ぶように売れたのは昔のことで、今はメディアの影響もあってか、割合としてはじゃこ天の製造販売にシフトしているそうです。それでも底曳きの水エソが年末に高値で取引されるのは、昔ながらの製法を守り続けているメーカーさまが、今なおいらっしゃるおかげです。
どの業界でも同じですが、技術の継承は短期的には市場原理と相反する場合も多いのでしょうが、こんな時代になればなるほど伝統的な製法や匠の技術というものが、もっともっと評価されて良いのではないでしょうか。
ここからはそんな老舗蒲鉾業者様とはうって変わって、とんでもない海外ビジネスについて・・
先日の産経新聞には、目下世界的にブームとなっている“すしレストラン”のDNAテストについてのコラムが載っていました。いわく、ニューヨークとデンバーのレストラン31店で実施したDNAテストでは、「ビンナガマグロ」、「ホワイトツナ」と表示されていた9つのメニューのうち、5つは、“バラムツ(アブラソコムツ)”という深海魚だったとのこと。以前、このブログでもご紹介したことがありますが、バラムツとは消化によくない油分が多く、下痢を起こすため流通が禁止されている深海魚なのです。脂が多いため、提供側からすればマグロの代用品という認識なのでしょうが、お客さんからすれば恐ろしい話ですね。世界的なすしブームの裏では、顧客側の商品知識が希薄なのをいいことに、こんな杜撰な流通もまかり通っているという信じられない現実です。
市場主義の弊害と言ってしまえばそれまでですが、そんなメニューが日本の伝統的食文化として世界に広められているとすれば大きな問題です。農産物のように生産地が特定できないために、いろいろと問題の多い天然魚介類のトレーサビリティですが、プロとしてサービスを提供する以上、事業所側には一定の道徳観に基づいた情報開示が求められます。
私たちも漁業者ですが、直売所では商品について産地や味や調理方法を聞かれることも多いわけで・・。年末の大売り出しを前に、もう一度商品知識についての確認と意識の統一も徹底しなければ、と感じた次第です。
今日はこれより年末に向けてトロール市のミーティング、夜は海幸丸本船入港の予定です。
投稿者 E.miyamoto : 2009年12月21日 16:08